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肥満と減量と健康について

ブログでダイエットについてのお話をさせて頂いていますが、ここで一度、肥満と健康について考えてみたいと思います。
ダイエットされる方の中には、健康診断などで医師に運動と減量を勧められてトレーニングに取り組まれる方もいらっしゃいます。
健康づくりもトレーニングの大切な要素です。今回は肥満による健康障害と減量で軽減できる生活習慣病のリスクについてお話したいと思います。

目次

肥満・肥満症・メタボリックシンドローム

まず最初に、肥満、肥満症、メタボリックシンドロームという言葉について整理してみます。

肥満

肥満とは太っていること。体脂肪が過剰に蓄積している状態をいいます。肥満であるかどうかは体脂肪量によって判断されますが、体脂肪量を正確に測定することは難しいので、BMIを用いて判定されます。日本ではBMIが25以上で肥満とされます。

BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)2]

18.5≦BMI<25が標準体型とされており、統計学上、BMI=22が最も糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病のリスクが低いとされています。

肥満症

BMI≧25で、以下のいずれかの条件を満たすもの

1)肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害有するもの
2)スクリーニングにより上半身肥満を疑われ、腹部CT検査によって確定診断された内臓脂肪型肥満

要するに、肥満による体脂肪の蓄積に起因または関連する健康障害がある、あるいは予測される場合で、医学的に減量が必要とされる状態のことです。BMIi≧35以上の場合は高度肥満と位置付けられ、肥満症とは異なる対応が必要とされます。

メタボリックシンドローム

健康診断などでもよく耳にする言葉でご存じの方も多いと思います。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積(ウェスト周囲計で判定される)があり、脂質、血圧、血糖のいずれか二つ以上に異常がみられる状態です。内臓脂肪型の肥満で、脂質異常症、高血圧、糖尿病のリスクが重複していることで、虚血性心疾患のリスクが高い状態であると考えられます。
40歳から74歳を対象とした特定健康診査に基づいてリスクを判定し、リスクに応じて特定保健指導で減量対策支援が行われます。

日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準は以下の通りです。

A: 腹囲 ≥ 85cm(男性) ≥ 90cm(女性)
(内臓脂肪面積 男女とも≥100cm2に相当)
B: 上記に加え、以下のいずれか2項目以上に該当する(男女とも)
1.中性脂肪 ≥ 150mg/dl かつ/または HDL < 40mg/dl
2.血圧 収縮期血圧 ≥ 130mmHg かつ/または 拡張期血圧 ≥ 85mmHg
3.血糖 空腹時血糖 ≥ 110mg/dl

なぜ肥満が問題なのか?

肥満が問題となるのは、内臓脂肪の過剰な蓄積によって糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を発症し、それらが動脈硬化を進展させ、脳梗塞、心筋梗塞などの命に係わる病気に発展するからです。
単に見た目の問題だけではなく、「肥満はあなたの健康への脅威となる可能性がある」ことを認識する必要があります。

内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満

肥満は脂肪が蓄積する部位によって、内臓脂肪型と皮下脂肪型に分けられます。肥満症やメタボリックシンドロームで主に問題となるのはお腹周りに脂肪がつく「内臓脂肪型の肥満」です。内臓脂肪はエネルギーを貯蔵するだけでなく、種々の生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌します。内臓脂肪が過剰に蓄積されると、インスリンの働きを弱めるTNF-α、血圧の上昇に関連するアンジオテンシノーゲン、動脈硬化発症に関連するPAI-1などの分泌が増え、逆に糖尿病や動脈硬化を防止するアディポネクチンの分泌が低下します。そのため、内臓脂肪の蓄積によって糖尿病、高血圧、動脈硬化を発症しやすくなってしまうのです。

インスリン抵抗性

インスリンの作用は主に糖を吸収し、血糖値を正常範囲に保つことです。インスリン抵抗性は内臓脂肪の過剰蓄積や運動不足が原因となって発症します。インスリン抵抗性があるとインスリンが効きにくいため、血糖値が低下しにくくなり、糖尿病を引き起こします。また、血中脂質や血圧にも異常が生じ、脂質異常症や高血圧などを引き起こします。
つまり、生活習慣病の背景にはインスリン抵抗性があり、インスリン抵抗性の背景には内臓脂肪型肥満があるのです。ですので、生活習慣病の予防、改善には、肥満を改善しインスリン抵抗性を改善することが非常に重要なのです。

3%の減量で肥満症・メタボを改善できる

このように肥満は生活習慣病や動脈硬化症の重大な危険因子ですが、減量によってこれらの病気のリスクを軽減することができます。

日本肥満学会の肥満症診療ガイドライン2016では、3%の体重減少を肥満症改善の目標としています。わずかな体重、内臓脂肪の減少でも、血糖や脂質、血圧が一挙に改善され、肥満症やメタボリックシンドロームの病態は改善されるとしています。
わずか3%です。60㎏なら-1.8㎏、80㎏でも-2.4㎏。それほど難しい目標ではありません。健康のために少しづつでも減量に取り組んでいただきたいと思います。

あなたは本当に太っていますか?痩せていますか?

今回は肥満と健康についてのお話ですが、痩せていれば良いというわけではもちろんありません。

最近は女性だけでなく男性でも、特に若年層の極端な痩身志向が問題となっています。
BMIが標準値もしくはそれ以下であっても、自分が太っていると認識し、過度なダイエットに走る傾向が指摘されています。
痩せすぎは、過剰な食事制限による摂食障害や免疫力の低下、骨量の低下などの原因になり、また女性の場合は女性ホルモンのバランスが乱れ、心身の健康に深刻な害を与える場合もあります。
肥満だけでなく、痩せすぎや極端なダイエットも危険であることを覚えておいて頂きたいと思います。

肥満の指標には主にBMIが用いられますが、BMIだけでは筋肉質なのか体脂肪が多いのかがわかりません。筋肉量が多ければBMIが高くても内臓脂肪量は少ないはずです。また逆にBMIが正常値でも筋肉量が少なく内臓脂肪が多い「かくれ肥満」の可能性もあります。
体脂肪量を減らすだけでなく、除脂肪量(体重から体脂肪を除いた、筋肉、骨、内臓など)を増やすことも健康を維持するために重要な要素です。除脂肪量を増やすことは、メタボリックシンドロームだけでなく、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防にも役立ちます。
あなた自身の筋肉量と体脂肪量を測定し、あなたにとって適正な体重、体組成をご確認いただいた上で、体づくりに取り組んで頂くことをお勧めします。

まとめ

肥満そのものは病気ではありませんが、肥満を放置すると生活習慣病を引きおこす可能性もあります。生活習慣病の大元には肥満とインスリン抵抗性の問題があります。わずかな減量でも肥満症やメタボリックシンドロームの予防、改善に大きな効果があります。美容のためだけでなく、健康という観点からも、お心当たりのある方は、これを機に減量を心がけて頂ければと思います。
また、減量は食事のコントロールと運動をうまく組み合わせて行って頂くことをお勧めします。


参考 日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2016


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